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The B grade ・・・

巨樹の記録 ≪引作の大楠≫


Nikon D850 + AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR

南北に長い三重県の南端、和歌山県との県境に近い地域に三重県最大クラスの巨樹があります。
その存在はもちろん随分前から知ってはいたのですが、遠くて気軽には行けないので先延ばしになっていたのです。
近くに日本棚田百選のひとつ丸山の千枚田があるので、棚田が見頃の時期に合わせて見に行こうと目論んでいました。

しかしダメですね、こういう思考は。
欲張るがあまり、ズルズルと機会を逃してしまうという・・・。
結論を言うと、あれこれ考えずにサッサと見に行くべきでした。


↓↓↓




850_4525-1-sn7.jpg

県道141号線から引作の集落へと向かう道へ逸れると、すぐにその姿が確認できます。
思わず車を停めてしまいました。
集落の背後に鎮座するクスノキ、早くもその存在が只者ではないことが感じられます。
気が急きますが、ここはゆっくりと・・・、集落内の道はそれほど広くないので。



850_4582-1-sn7.jpg

クスノキは引作神社の境内にあります。
そして神社前には駐車スペースがあり、車を気にせずゆっくりと観察できます。
ちなみにトイレも完備、参拝者や訪問者のことを思ってのことでしょう、本当に有難いですね。



850_4529-1-sn7.jpg

神社は思いのほか小さく、そしてクスノキは想像以上に大きい。
サイズは事前に理解してから行っていますが、巨樹の常でこのクラスになるとイメージを軽く超えてくるものです。
『デカいデカい!』と呟きながら、全形をおさめる場所を探しながら後退します。



850_4535-1-sn7.jpg

圧倒的な存在感です。

このクスノキは明治44年に付近にあった杉の大樹とともに伐採されることになったようですが、
そのことを知った南方熊楠が民俗学者で官僚であった柳田国男に至急手紙を出し、伐採の中止を働きかけるよう要請。
柳田国男は三重県知事に伐採を中止するよう書簡を出し、危ういところでこのクスノキだけは伐採を免れたそうです。

南方熊楠サン、柳田国男サン、素晴らしい!



850_4575-1-n7.jpg

そんなこんなで危機を脱したクスノキは、どういう状況でこうなったのかわかりませんが神社の石垣をぶち抜いています。
樹齢が1500年とも言われてますから、クスノキが先で石垣が後にできたのか・・・。

この写真ではわかりにくいですが、手前側(石垣の外)と境内側(石垣の内)では、高低差が2m以上あります。
よって仮に境内側の土を掘って幹周を計測すれば更に太いと想像できますね。



850_4568-1-sn7.jpg

さすがにスギほどではないにしろ、クスノキとしては樹高もかなりのものです。
そしてクスノキらしく樹勢も旺盛。



850_4560-1-sn7.jpg

神社から溢れ出るように枝を大きく伸ばしています。
樹冠の下にいると、力強く逞しい者に庇護されているような錯覚に陥ります。



850_4556-1-n7.jpg

境内側から見ると、地上3mくらいのところから四方向に分かれています。
三本は手前(道路側)に伸び、一本は後ろ(拝殿側)に伸びていることがわかります。

そして根元部分には空洞が。
クスノキの巨樹にありがちですが、覗いて見ると結構深くて大きそうでした。



850_4542-1-sn7.jpg

この重厚感に見惚れてしまいます。

そしてこの裏側ですが、鉄板のようなもので塞がれている部分が見えます。
元々は五本あった幹?大枝?ですが、2007年に一本が折れ、それを修繕した跡だと思われます。



850_4610-1-sn7.jpg

一目見た時からあまりのサイズ感に圧倒されて全体の形がイマイチ把握できなかったのですが、
次第に落ち着いてきた頃に一旦離れ、横から見てようやく理解できてきました。
途中から道路側へと大きく傾斜して成長しています。



850_4614-1-sn7.jpg

道路側と拝殿側に樹冠が大きく分かれています。
開けたところにあればもっとこの威容が際立つでしょう。
いや、欲を出してはいけないですよね。
これでも充分過ぎるほどに素晴らしいですから。
さすが、新日本名木100選の称号は伊達ではありません。



850_4593-1-sn7.jpg

恒例の自分比較その①



850_4595-1-sn7.jpg

恒例の自分比較その②

同じような二枚の写真ですが、高低差がわかりやすいかと思いまして。
この頃になると小雨が降り始め、気を付けてはいましたがやはりレンズに水滴が・・・。

私が言うのもなんですが、三重県を代表すると言っても差し支えない見事な巨樹です。
紀伊半島の南側にあり、近畿圏に住む人でもあまり行かない(と思われる)エリアですが、
是非このクスノキは見に行って欲しいと思います。
絶対に後悔しませんよ。



850_4537-1-n7.jpg

≪引作の大楠≫

三重県南牟婁郡御浜町引作507 引作神社
三重県指定天然記念物
新日本名木100選

幹周/15.7m、樹高/31.4m、樹齢/1500年



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テーマ:花・植物 - ジャンル:写真

  1. 2019/10/05(土) 20:25:22|
  2. 巨樹の記録
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

うわ…ついに出た。僕の中では近畿圏最後の大物という位置付けです。
行きたいけど本当に遠いんですよねえ…尾鷲より先ってもう想像できません。

でもこの大楠は想像どおり、いえ、想像を遥かに上回るくらい凄そうですね。
もう二枚目の遠景を見ただけで心臓がバクバク鳴り始めて倒れるかと思いました 笑
ああこれ、写真で見ても物凄いけど実物見たらぶったまげる奴ですよねえ。
決めた!行きます。貴重な常緑樹さんなので、この冬最大のイベントにします。

このエリアは本当、あまり大きな声では言えませんが例の大地震が来るとどうなるか分からないし…行くなら早い方がいいですよね。おかげさまで決心できました。
  1. 2019/10/06(日) 10:43:41 |
  2. URL |
  3. to-fu #-
  4. [ 編集 ]

> to-fuさん

はい、出ました(笑)。
京都からだとかなり遠いですよねぇ。
そりゃあ、岐阜やら福井の方が近いでしょうからなかなか足が向かないのも無理ありません。
冬だと奈良県の山中を縦断するルートは天候次第ではダメかもしれませんので、
三重県の高速に乗ってグルっと回る方が安全そうですね。

数値上の幹周はかなりのものですが、実際に目にできる角度からはそれほどあるようには見えません。
11枚目の写真で見ればわかるかと思いますが、かろうじて鉄板が被さってある折れた部分が見える場所からだと
15mオーバーのサイズだと確認できる感じですかねぇ。
それでも間近に寄れるし触れることができるので相当な迫力です。
静かな集落にあってゆっくりできますので、是非コーヒーセットをお忘れなく(笑)。

  1. 2019/10/06(日) 21:19:16 |
  2. URL |
  3. RYO-JI #-
  4. [ 編集 ]

三重や和歌山というのは自分にとってはものすごく遠く、こりゃよほどの計画がないといけないなと思っている地域で、そのためどんな巨樹があるのかリサーチもしていません。
が、このクスは知っていました。
南方熊楠のエピソードで知ったのですが、ほんと神社合祀政策は最悪なことをしてくれたものです。
三重では9割の神社が廃止・破壊されたと言われていますからね……。
巨樹切りまくるなんて、ほんとどうかしてる、バカなんじゃないかと思います。

そういった、歴史の激動を生きたモニュメント的巨樹だと思うのですが、RYO-JIさんの写真と手記で見ることができて大変うれしいです。
割とシンプルな造形なのもあってか、人物を置かない中距離の写真ではあまり巨大さが伝わって来ず、むしろぐっと引いた時の全体像から、これはすごいヤツだ……というオーラを感じます。
そして、RYO-JIさんとの対比……デカい!!
僕としては、守ってくれてありがとうセンセイたち! というしかないです。
熊楠センセイの調査によるデータがまだ載っているのか……今はどんなもんなんでしょうね。
  1. 2019/10/09(水) 16:47:04 |
  2. URL |
  3. 狛 #OP.fI0wQ
  4. [ 編集 ]

> 狛さん

狛さんにとっての三重や和歌山は、私にとっての宮城や福島にあたるのかなぁと思います。
行きたくとも気軽には到底行けないエリアですものねぇ。
それでもこのクスノキはご存知でしたか!
なんだかちょっと嬉しいですね(自分の手柄のように感じて)。
歴史的に見て廃仏毀釈や神社合祀はもう愚策と言っていいでしょう。
三重県ではそうですか、9割も・・・許せませんね。
しかも巨樹まで切りまくっていただなんてバカとしか言いようがないですよね。
そういう時代の政策に逆らって巨樹を残そうとした方々は、さすがは偉人。
素晴らしいですよね。

このクスノキはずっと気になっていたんですが、なかなか行けず仕舞いだったんです。
例の衝撃的な四国旅の後でしたが、あの徳島高知連合軍に引けをとらない素晴らしいクスノキでした。
幹周の実測を一度でも経験した後では、どの巨樹も実測したくて仕方ありません。
このクスノキもそんな一本でしたよ。
  1. 2019/10/09(水) 21:00:57 |
  2. URL |
  3. RYO-JI #-
  4. [ 編集 ]

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